研究課題/領域番号 |
09670806
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
谷池 雅子 大阪大学, 医学部, 助手 (30263289)
|
研究分担者 |
松田 佳子 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
島 雅昭 大阪大学, 医学部, 助手 (10252660)
|
キーワード | ガラクトセレブロシダーゼ / Twitcher / MHC Class I分子 / アポトーシス / リポカリン型プロスタグランディンD合成酵素 |
研究概要 |
結果 twitcher(twi/twi)突然変異のへテロ接合体、(GALC^<twi/+>)を同定し、β2-microglobulinノックアウトマウス(β2^<>0/0)と交配させて、産出されたF1世代のgenotypeを決定し、F1の中からβ2^<+/0>・GALC^<twi/+>同士を選択的に交配させてF2を作成しているが、F2世代の繁殖力が低いという問題点のため、現時点では、F2世代におけるtwitchergenotypeに対するMHCclassIの影響が検討できていない。 研究の解析に必要な基礎的データの蓄積のために以下の様な実験を行って成果を発表した。 1) twitcherの脳において、脱髄の進行とともに、種々のミエリン蛋白の発現が減少していき、特にtwitcherの欠損酵素ガラクトシルセラミダーゼの基質であるガラクトシルセラミドの合成酵素であるUDP-ガラクトース:セラミドガラクトシルトランスフェラーゼの抑制が特異的であり、このため、twitcherにおいては酵素の欠損にも関わらず、基質ガラクトシルサラミドが蓄積しない可能性があることを示した。 2) twitcherの脳において、中枢神経系のミエリン形成細胞であるオリゴデンドロサイトの減少がアポトーシス死によることを示した。 3) リポカリン型プロスタグランディンD合成酵素がマウスにおけるオリゴデンドログリア関連蛋白であることを証明し、その発現が、twitcher脳において脱髄の進行とともに増強することを見い出した。 今後の研究の展開について ウィルス感染による脱髄モデルを用いたMayoClinicのRodriguezらの研究により、MHCclassI分子はウィルス感染に伴う脱髄の進行・神経的合併症の出現に関与していることが示唆されている。今後、上の1)〜3)に述べた様な新知見を元に、交配マウスF2の臨床症状・神経病理の解析を行い、MHCclassI分子発現がtwitcherの脱髄に及ぼす影響を調べることは、脱髄症への治療の開発という面においても非常に大きいと考えられる。
|