研究概要 |
1.グラム陽性・陰性菌に共通の16SリボゾームDNA配列を含む部分のオリゴヌクレオチド(Eubacteria)を合成し,無菌操作で取り出した血液DNAを用いた敗血症スクリーニングに使用できることを確認した. 2.以下の菌種について菌種特異的オリゴヌクレオチドを作成した. ブドウ球菌(up1&2),,メチシリン耐性ブドウ球菌(mec1&2)、,グループB連鎖球菌(GBS1&2,GBS3&4),マイコプラズマ(GPO1&2),エルシニア(Yercaf1&2,Yerail1&2,Yerinv1&2),これらのブローブは各菌種特異的であることを確認した. 3.Bartonella henselae特異的DNA配列(Cat1&2,Cat3&4))を作成した. 1)全身型猫ひっかき病を疑われる患者3名について敗血症の有無を検討したところ,16SリボゾームDNAおよびBartonella henselae特異DNA配列ともに陰性だった. 2)局所リンパ節腫大を示し,猫ひっかき病と診断された4例の飼い猫の口腔スワップを用いてPCRを行った所,1例で陽性を示し,Bartonella henselaeの感染経路を直接証明できた. 3)猫の血液および口腔スワップを最初に16SリボゾームDNA配列でスクリーニングし,さらにBartonella henselae特異的DNA配列を用いて検索したところ,血液は10例とも陰性,口腔スワップでは16例中6例で陽性を示した. 4.Bartonella henselae血清学的診断法の開発を行った. 1)間接蛍光抗体法を開発し,猫ひっかき病の疑われる33例についてIgG,IgM抗体を測定し,20例について血清学的に猫ひっかき病と診断できた. 2)受身赤血球凝集反応によるBartonella henselae抗体検査法を新たに開発した. 以上の結果より,敗血症スクリーニング検査法および特定の菌種の同定法としてPCR法が有効であることが判明した.今後は実際の臨床例を増やし,PCR法の診断的特異性について検討する予定である.
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