パルボウイルスB19(B19)感染の診断確定には血中B19DNAの検出、抗B19IgM抗体、抗IgG抗体の測定等が必要である.血液以外の臨床検体についてB19DNAの検出を試み診断の有用性を検討した.B19感染症である伝染性紅斑と診断された37例の児から得られた血清、咽頭拭い液、尿からB19DNAをPCR法を用いて検出を試みた.血清ではsingle PCRで32例(86.5%)、nested PCRで37例全例に検出された.咽頭拭い液ではsingle PCRで9例(24.3%)、nested PCRで全例、尿ではそれぞれ1例(2.7%)、29例(78.4%)であった.咽頭拭い液からは血清B19DNA量が多ければsingle PCRで、nested PCRを用いるならば全例に検出され、有用な臨床検体であることが判明した. 急性胃腸炎様症状で発症し汎血球減少を呈した5歳女児および児の発症12日後に同症状を示した41歳母親について、B19感染による無形成発作と診断し基礎疾患として遺伝性球状赤血球症の存在を証明した.これまでにB19感染により2系統ないしは汎血球減少を呈する例があることから、その機序について検討した.血球減少を呈したB19感染4例および伝染性紅斑4例について検索した.血球減少を呈した4例中3例に骨髄で血球貧食像が認められた.造血抑制性サイトカインであるINFγ、TNFα、IL1は、血球減少を呈したB19感染4例のうちINFγのみが2例で増加していたが、伝染性紅斑4例ではすべて測定感度以下であった.アポトーシスは血球減少を呈した4例中1例に認められた.INFγによる造血抑制のみならずマクロファージ活性化による血球貧食が示唆されるが他の機序も存在すると考えらた.B19感染により種々の病態を呈する症例の発見とウイルスDNAの保存を試みている.
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