1986年から1997年までの保存血液ないし髄液のうち23検体からパルボウイルスB19(B19)感染を証明した.これら感染ウイルスストレインと臨床症状の関連の有無を、ウイルス中和に重要とされるB19DNAのVP1領域の多様性に着目し、その領域をPCR法で増幅しNon-isotopic RNase Cleavage Assay^<TM>(NIRCA^<TM>)および塩基配列を直接決定することにより検索した.23検体から得られたVP1領域はNIRCA^<TM>で3つの電気泳動パターンに大別された.標準ストレインと比較して、塩基配列については14塩基の変異とアミノ酸については4つの置換が認められた.塩基変異は0.3から2.7%、アミノ酸置換は1.0から3.0%に相当した.NIRCA^<TM>に従いVP1領域の変異を1、2および3型の3タイプに分類した.1型と3型は類似した塩基配列であるが、2型は全く異なるものである.一つのNIRCA^<TM>型にはいくつか異なる塩基配列も存在したが、それらはアミノ酸置換を伴わないものであった.結論的には、臨床症状とNIRCA^<TM>型ないしは臨床症状と塩基配列との相関は認めなかった.しかし、1987年以前の検体はすべて2型であったが、1989年以降では20例中19例が1型から、ゲノム型と流行は関連していることが判明した. 新たに、B19感染により血球貧食症候群を呈した遺伝性球状赤血球症の母子例およびB19再感染と考えられる悪性腫瘍の1例を発見したので、これらのウイルスストレインについても検索の予定である。
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