研究概要 |
【平成10年度までの研究の進行状況】 (1) アポトーシス細胞の定量方法の確立した.すなわち細胞を固定し,TdTによりBrdUを取り込ませた.ついでFITCをラベルした抗BrdU抗体と反応させ,酵素抗体法によりアポトーシスを起こした細胞を同定することができた. (2) ヒト白血病細胞の野生株とトポイソメラーゼIIαに変異を持つ薬剤耐性株を抗腫瘍剤で処理し,アポトーシスを起こした細胞を定量した.抗腫瘍剤に対する薬剤耐性の度合いとアポトーシス細胞の比率が逆相関することがわかった. (3) ヒト白血病細胞の野生株とトポイソメラーゼIIαの変異株に抗トポイソメラーゼ作用を持つ抗腫瘍剤(doxorubicin,VP-16)を作用させると,いずれもG2-M期の細胞の集積がみられた.従って,doxorubicin,VP-16はG2-M期の細胞に作用してアポトーシスを引き起こすことが推測された. 【平成12年度の研究計画】 (1) 近年,アポトーシスに先立ってトポイソメラーゼIIαの発現量が低下することが明らかにされた.そこで細胞周期の進行とトポイソメラーゼ発現の調節機構の関連を明らかにするために,トポイソメラーゼの発現量は正常だが蛋白構造に変異を持つ薬剤耐性細胞とトポイソメラーゼの蛋白構造は正常だが発現量が低下している薬剤耐性細胞を用いて,doxorubicin,VP-16の処理によりトポイソメラーゼの発現量の変化が見られるか否かを検討する. (2) さらにトポイソメラーゼの発現量の変化がアポトーシスの引き金なのか,単に細胞死の過程を反映しているものなのかを検討するために,両細胞における各種サイクリンやP53などの細胞周期制御因子とFasやBc12などのアポトーシス制御因子の発現を検討する.
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