研究概要 |
GBウイルス-C/G型肝炎ウイルス(以下HGV)感染者の多くは血液を介して感染しているものと推定されるが,血液以外の感染経路については未だ明らかでない.すなわち,HGVもC型肝炎ウイルスと同様に感染経路の一つとして母子感染が推定されるが,その頻度,感染の要因,感染後の臨床経過などについては全く不明である.そこでこれらの点を明らかにし,HGV母子感染の予防に関する基礎的知見を得ることを目的とて研究を行っている. RT-PCR法による妊婦のHGV検出率について,現時点の集計では妊婦288例中1例でのみHGVが血中で検出された(0.3%).母子感染率の算定のため更に妊婦検索を継続する予定である. 後方的な検索として,15歳以下の輸血歴の無い小児700例で血中HGVを検索したところ,4例(0.6%)に検出した.この4例の母親を検索したところ全例HGV陽性であった.また,5'-noncoding領域の一部の塩基配列の相同性をdirect-PCR-sequence法にて検索すると,各家系間で塩基の違いを認めたが,母子間では完全に一致していた. 小児期のB型,C型,非A非B非C型肝炎例について,HGVの検出率およびHGV-E2抗体の検出率を検討すると,輸血歴のある症例或いは母親がHGV感染例であった症例でのみHGV感染が認められ,HGV検出率とこれら肝疾患との間には関連性が無かった. HGV感染の臨床的意義については今後更に例数を増して明らかにする予定である.
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