研究概要 |
昨年度に引き続きGBウイルス-C/G型肝炎ウイルス(以下HGV)感染者の感染ルート及びその病態を明らかにすることを行った. HGVの検索はRT-PCR法を用い,HGV-E2抗体の測定はEIA法に従った.また,塩基配列の解析は直接シーケンス法で行った. 輸血暦の無い小児の検索例を更に増して検討した.1000例を対象として検討した結果HGV感染率は0.5%(5/1000)となった.新たに加わった症例の母親のHGVは陽性であった. HGV陽性例において肝障害との間に一定の関係はなかった.HGV陽性例5例のゲノム型は家族毎に特異的であったが,母子間ではそれぞれの家系で100%-した.HGV陽性母親から生まれた児におけるHGV陽性率は78%(7/9)であった.なお,HGV-E2抗体は1例も検出されなかった(0/330). 悪性腫瘍群と非悪性腫瘍群に分けてHGV感染率をみると,前者は33.3%(11/33),後者は5.4%(3/56)であった.これらは全例輸血歴があった.B型,C型,非A-C型肝炎群においてHGV感染率を調査すると,C型肝炎群のみにHGVが検出され,陽性率は30.4%(7/2,3)であった.これらは全例輸血歴があり,輸血による非特異的感染と思われた.母子感染したC型肝炎群では1例もHGVは検出されなかった.5例の劇症肝炎例では1例もHGVは検出されなかった.E2抗体は悪性腫瘍群で3.7%(1/27),非悪性腫瘍群で1.9%(1l/3)と,低値であった.
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