研究概要 |
GBウイルス-C/G型肝炎ウイルス(以下HGV)感染者の感染ルート及びその病態を明らかにすることを目的とした. HGVの検索はRT-PCR法を用い,HGV-E2抗体の測定はEIA法に従った.また,塩基配列の解析は直接シーケンス法で行った. (1) 妊婦(年齢30.2+/-4.4歳)のHGV感染率は0.3%(1/288)であった. (2) 輸血暦の無い小児のHGV感染率は0.5%(5/1000)であった.HGV感染と肝障害との間に一定の関係はなかった.HGV陽性例は全例キャリア化例で,母親は全例陽性であった.ゲノム型は家族毎に特異的であったが,母子間ではそれぞれの家系で100%一した.HGV陽性母親から生まれた児におけるHGV陽性率は78%(7/9)であった. (3) 悪性腫瘍群と非悪性腫瘍群に分けてHGV感染率をみると,前者は33.3%(11/33),後者は5.4%(3/56)であった.B型,C型,非A-C型肝炎群においてHGV感染率を調査すると,C型肝炎群のみにHGVが検出され,陽性率は30.4%(7/23)であった.これらは全例輸血歴があり,輸血による非特異的感染と思われた.5例の劇症肝炎例では1例もHGVは検出されなかった. (4) 輸血暦のない小児ではHGV-E2抗体は1例も検出されなかった(0/330).輸血歴のある小児では,悪性腫瘍群で3.7%(1/27),非悪性腫瘍群で1.9%(1/53)と,低値であった.小児ではキャリア化し易く.E2抗体へのセロコンバージョン率は低いものと推定された.
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