研究概要 |
1.3歳児健診におる学習上に問題を有する小児のスクリーニング【対象と方法】(1)k町の3歳児健診対象児中、同意の得られた39名(男23名,女16名)に,指示の理解,図地判別,線引き,構音,片足立ち(JMAPより引用)を行った。(2)通過率の悪い児に問題の有無を確認した。【結果】(1)検査不可の児は2名,各項目の通過率は指示の理解では標準59%,図地判別では標準72%,線引きでは標準100%,構音では標準67%,片足立ちでは標準54%であった。注意や危険の組合わせ数でみると,全項目標準12名,1項目注意6名,2項目注意6名,3項目注意1名,1項目注意1項目危険2名,1項目注意2項目危険1名,2項目注意1項目危険4名,3項目注意1項目危険1名,2項目注意2項目危険2名,1項目危険1名であった。(2)診察所見から注意欠陥多動性障害4名(検査不可の児2名,3項目注意1名,3項目注意1項目危険1名),軽度精神遅滞疑い1名(2項目注意2項目危険1名)と診断した。【考察】3歳では通過率が全体に低いが,線引きについてはこの月齢では正常でも不可であるので,有用ではない。他の4項目で選別すると,検査不可の児や4項目全てが危険か注意になる児では明らかに3歳で発達上の問題を有していた。 2.幼稚園における学習上に問題を有する小児のスクリーニング【対象と方法】K町A幼稚園児249名(男148名,女101名)についても前項同様の検査を行った。この結果を既に報告した判別式にて正常,軽度精神遅滞疑い,LD疑い,境界知能疑いに分類した。【結果】全対象児中,正常は166名,軽度精神遅滞疑い37名,LD疑い16名,境界知能疑い30名であった。軽度精神遅滞疑いのうち年中(5歳児)12名に精密検査を行った。診断は境界知能4名,表出性言語障害疑い3名,軽度精神遅滞2名,発達性協調運動障害疑い2名,注意欠陥多動性障害疑い1名であり全例に問題がみられた。
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