研究概要 |
今年度は、昨年に引き続き抗ヒトIGF-II受容体抗体を作り、その抗体で血中を中心としたヒト体組織中のIGF-II受容体定量システムを作ることを目的とした。 1, ヒトIGF-II受容体の大腸菌における発現と精製 IGF-II受容体は分子量約29万Daの細胞膜を貫通する巨大タンパク質で、一塊として発現精製することは困難である。その細胞外部分はN末端の40アミノ酸残基の後に、約150残基(分子量約1.8万Da)ずつの15回の繰り返し配列が続く構造である。この繰り返し配列を3つずつ含む5つの部分に分けて、それぞれのcDNAをpQE70ベクター(6XHis tagを構造に含む)に組み込み、大腸菌M15[pREP4]を形質転換後、Ni^<2+>-NTAカラムで6XHis tagをつり上げて精製を試みた。第4部分(1385-1820残基)と第5部分(1821-2304残基)に関しては予備実験で発現が確認されたが、第1-3部分に関しては確認できなかった。現在大腸菌をJM109に代えて発現を試みると共に、第4、5部分に関しては大容量の系を用いた発現を行っている。 2, ヒトIGF-II受容体に対するペプチド抗体作成 上記とは別に、ペプチド抗体作成の実験も同時進行中である。ヒトIGF-II受容体の7-22残基、1103-1119残基、2046-2064残基の3種類のペプチドを抗原として選び、抽出した。現在キャリアタンパク(DT、ポリアミノ酸)を結合中であるが、その後日本白色兎を免疫し、抗体を得る計画である。 お約束の2年で計画が終了せず申し訳ありませんが、今後抗体を用いた定量システムを作り、IGF-II/IGF-II受容体系の作用を詳細に解析する予定である。
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