研究概要 |
本研究はヒトIGF-II受容体に対する抗体を作成し、その定量シルテムを作ることを目標とした。成果は以下のとおりである。 1,ヒトIGF-II受容体の胎盤からの精製 : ヒト胎盤からIGF-II受容体の精製に成功したが、収量が3.3μg/g tissueとウシ胎仔肝(52.5μg/g tissue)の1/20にすぎず、抗体作成には到らなかった。 2,ヒトIGF-II受容体の大腸菌における発現と精製 : IGF-II受容体の細胞外部分を5つに分けて、それぞれのcDNAを発現ベクターに組み込み、大腸菌を形質転換後、精製を試みた。第3部分(951-1384残基)と第5部分(1821-2304残基)に関しては発現が確認されたが、その他の部分に関しては確認できなかった。 3,ヒトIGF-II受容体に対するペプチド抗体作成 : ヒトIGF-II受容体の7-22残基、1103-1119残基、2046-2064残基の3種類のペプチドを抗原として選び、生合成した。キャリアタンパク(ポリリジン)を結合し、すべてのペプチドに対する抗体を得た。各々の抗オリゴペプチド抗体が互いに交差反応を認めず、Native IGF-II受容体と反応することも確認できた。 現在、3種類6羽分の家兎血清のIgG-II画分を精製中である。精製後、ヒトIGF-II受容体のアッセイ系の構築を試みる。サンドウィッチ法や、ミニIGF-II受容体をスタンダードとして利用する競合法の開発を考えている。アッセイ系の開発と平行して、インフォームドコンセントの元に、妊婦の血液や羊水、さらにはIUGR児、低身長児、過成長児の血液等のサンプリングを始めている。使いうちにヒトIGF-II受容体のアッセイシステムを開発し、IGF-IIの作用、特にそのIGF-II受容体を介する作用の成長に関わる生理的意義解明に、より詳細なデータを提供できるものと考える。
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