研究課題/領域番号 |
09670832
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
三浦 寿男 北里大学, 医学部, 教授 (60050465)
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研究分担者 |
武井 研二 北里大学, 医学部, 助手 (50236410)
砂押 渉 北里大学, 医学部, 講師 (20171283)
白井 宏幸 北里大学, 医学部, 講師 (10154353)
島貫 郁 北里大学, 医学部, 助手 (10265697)
岩崎 俊之 北里大学, 医学部, 助手 (70265627)
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キーワード | てんかん / 抗てんかん薬 / 発達薬理 / 薬物血中濃度モニタリング / バルプロ酸 |
研究概要 |
小児の覚醒時大発作てんかんに対するsodium valproate(VPA)単剤治療の効果と血中濃度、ならびに断薬後の経過を検討した。対象は8か月〜15才未満(平均7才6か月)の覚醒時大発作てんかんの患児194例で、VPAは1日量30mg/kgを初回の基準維持量とした。VPAは1日朝夕2回の分服とし、血中濃度の測定は、最初VPAを導入して4週後の定常状態で行い、個々の採血は、血中濃度が日内で最高濃度となる、朝服薬後2〜4時間に行った。治療期間中は約6か月間隔で定期的に脳波の記録とVPA血中濃度のモニタリングを行い、原則として最終発作後5年間、しかも脳波上突発性発射が消失するまでは維持量を継続し、その後6か月の半減期間を経て、これをさらに半減して3か月継続後断薬を試みた。 対象194例の初回1日維持量(27.0±3.8mg/kg)での血中濃度は53〜149μg/ml(平均104.9±18.0μg/ml)であった。このうち、16例ではVPA単剤治療が無効で他剤を併用したが、発作抑制例178例と非抑制例16例の初回1日維持量と血中濃度に差を認めなかった。長期経過観察が可能であった120例中108例では前述の条件を満たし、投薬を減量、中止したが、21例で断薬2週〜3年10か月(平均7.2か月)後に発作が再現した。しかし、他の87例では断薬後6か月〜15年1か月(平均7年4か月)の観察期間中発作の再発はない。 この断薬後の発作再発例と非再発例の治療経過に差はなく、断薬に至る減量直前のVPA血中濃度にも差はないが、投薬中止時年令は再発例が平均17才9か月、非再発例が平均13才1か月であった。また、小児期に治療を開始して、同一維持量を継続し、思春期から成人に至る減量までの期間に、VPA血中濃度は約20%低下した。
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