研究課題/領域番号 |
09670836
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
矢部 普正 東海大学, 医学部, 講師 (70220217)
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研究分担者 |
矢部 みはる 東海大学, 医学部, 講師 (40172514)
加藤 俊一 東海大学, 医学部, 助教授 (70096212)
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キーワード | Stem cell transplantation / cellular immunity / GVHD / donor lymphocyte infusion / Epstein-Barr virus / BLPD / CTL |
研究概要 |
1.同種CD34陽性細胞移植患者の末梢血におけるEpstein-Barr virus(EBV)ゲノムの解析 前年度と同様に、同種造血細胞移植患者の末梢血中のEBVコピー数を経時的に測定したところ、患者末梢血中のEBVゲノムはドナーあるいは移植方法の種類にかかわらず高値を示した。しかしEBウイルス関連Bリンパ球増殖症(EBV-BLPD)は同種CD34陽性細胞移植の患者のみに発症し、移植後のリンパ球の回復遅延がその発症に大きく関与していることが示された。EBV-BLPD発症患者のEBVゲノムのコピー数はいずれも10^4コピー以上であり、非発症患者におけるEBVゲノムのコピー数は一部の症例を除いて陰性〜5000コピーであった。 2.EBV特異的細胞傷害性Tリンパ球(EBV-CTL)の誘導と患者への投与 培養されたEBV-CTLの特異性を検討した結果、自己のEBV非感染B細胞、同種EBV感染B細胞には反応せず、自己のEBV感染B細胞に対して特異的に細胞傷害活性を有していた。実際に同種CD34陽性細胞移植後にEBVゲノムが10^5コピーに至った患者に対するEBV-CTLの投与では、肺胞上皮のEBV感染細胞に対する細胞傷害活性が強く発揮され、その結果としてARDSを合併したが、その後EBVゲノムは10^5コピーから300コピーまで減少し、EBV-BLPDは発症せず、有効性が確認された。 以上より、同種CD34陽性細胞移植などのEBV-BLPDの発症のリスクが高い症例では10^4コピー以上のEBVゲノムが検出された時点でDLTあるいはEBV-CTLの投与が必要であると考えられた。しかしながら、EBV-CTLはEBV感染臓器への直接的炎症による臓器障害の危険があり、投与時期をさらに検討する必要がある。
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