研究概要 |
臍帯血幹細胞のTPO他cytokine依存性巨核球血小板造血に及ぼすITP自己抗体のin vitroでの影響を検討した.満期分娩時,同意を得て採取したヘパリン加臍帯血より単核細胞を分離洗浄し,cytokine存在,非存在下で液体培養系で2週間培養し,増殖細胞を1計数及び形態的検討,2 flow cytometryによる巨核球同定,3増殖細胞除去培養上清での血小板特異抗原(GPllb/llla)量の定量によって,cytokine依存性巨核球血小板造血を評価した.なお血漿,血小板の何れも同意のもとで採取した. 健常人血漿添加系:GM-CSF,EPO単独添加では巨核球血小板造血を示す形態的,免疫学的徴候は見られず,TPO単独添加ではmonotonousな巨核球増殖を認め,89%がGPllb/llla陽性細胞であった.培養上清TRX-100 extractのGPllb/llla定量では吸着llb/lllaのOD492は平均0.271(TPO free 0.006)と増加し、血小板造血が確認された. 慢性ITP血漿(抗GPllb/llla自己抗体検出例)添加系:TPO添加培養系での2週後の細胞濃度は平均7.5×10_5/mlと少なく,また形態上もmacrophageが優位で,特異抗原陽性細胞率は平均11.5%であった.培養液中のGPllb/lla量は,平均0.163(TPO free 0.006)と健常血漿添加系に比べて低値であるが検出された.抗血小板自己抗体陽性ITP血漿がTPO依存性巨核球血小板造血に対して抑制的に作用することが示された.これがADCCによる巨核球抗原発現細胞に対する自己抗体の直接作用によるものか,TPO-receptor結合の抑制等を介した造血障害か否かの検討が必要である.非動化血漿及びaffinity単離した自己抗体に同様の作用があるか否かを検討する.
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