研究概要 |
臍帯血幹細胞のTPO他cytokine依存性巨核球血小板造血に及ぼすITP自己抗体のin vitroでの影響を検討した.満期分娩時,同意を得て採取したヘパリン加臍帯血より単核細胞を分離洗浄し, cytokine存在,非存在下で液体培養系で2週間培養し,増殖細胞除去培養上清での血小板特異抗原(GPllb/llla)量の定量によって,cytokine依存性巨核球血小板造血を評価した.なお血漿,血小板の何れも同意のもとで採取した. 健常人血漿及びIgG画分添加系=TPO0.2ないし5ng/ml及びヒト血清10%添加の培養系での巨核球血小板造血は,GPllb/llla産生量を指標とすると,TPO無添加でOD492は0.002±0.001(mean±SD,n=5)であるのに対して,0.468±0.215(n=12)及び1.498±0.374(n=14)と著増し,これにproteinAにて抽出したIgGを5ng/ml添加した系では培養上清TRX-100extractのGPllb/llla量は0.389±0.421及び1.347±0.414と造血抑制は見られなかった. 慢性ITP(抗GPllb/llla自己抗体検出例)血漿由来IgG画分添加系=TPO添加培養系での2週後の細胞除去上清でのGPllb/llla発現量はTPO0.2及び5ng/ml,10%血清添加にて,それぞれ0.014±0.03,0.934±0.599とTPO用量依存性に抑制された.血小板結合GPllb/llla自己抗体検出量とTPO依存性巨核球血小板造血抑制率との間には有意な相関はなく,またoctylg1ucosideにて可溶化したGPllb/llla抗原の添加によっても巨核球造血抑制は解除されなかった. 以上より,ITP患者血清中のTPO依存性巨核球血小板造血抑制作用は,本症で通常見られる抗GPllb/llla活性以外のIgG画分によることが示された.
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