研究概要 |
22q11.2欠失症候群は、円錐動脈幹異常顔貌症候群(Conotruncal anomaly face syndrome:CAFS)/velo-cardio-facial症候群のほとんどとDiGeorge症候群(DGS)さらにはOpitze-GBBB症候群のうち、円錐動脈幹異常顔貌(CAF)を伴い染色体22q11.2に欠失を認める.即ちこれら四症候群で染色体22q11.2に欠失を認めた表現型は、常にCAFを伴うが他の表現型は重なり合いながら広範囲のスペクトルを呈する.本研究は、本症候群の表現型と遺伝子異常との関係を明らかにするために、染色体22q11.2の欠失領域と表現型の関係を検討することを通じて、本症候群の原因遺伝子を探る一助とする.N25DGCRプローブにて22q11.2に欠失の認められた180例(CAFS:162例、DGS:18例)を対象として、この領域に存在する8種類のコスミドプロープ(N72H9,sc11.1a,C443,sc4.1,sc11.1b,N19B3,NN122B5,N77F7)を用いてFISH法を行い、欠失領域の大きさの検索を行った.その結果、CAFSでは欠失のテロメア端に3種類のタイプが存在し、欠失領域が一番大きいタイプ(Aタイプ)が最も多く93%で、中間型のBタイプが3%、最も短いCタイプが4%であった.DGSでは18例全例でテロメア端はAタイプであり、B,Cタイプは1例もなかった.またCAFSでは家族性の症例が13%存在したがDGSでは一例も存在しなかった.家族性CAFSではAタイプが76%と欠失領域が短いタイプが多くなる傾向が認められた.これは家族性CAFSの症例(特に親の代で心疾患が2例しか認められない)では比較的表現型が軽度であるということと相関する可能性が考えられた.今後テロメア端側で新たなプローブを開発し詳細なテロメア端での欠失領域の大きさの検討を行うと共に、共通欠失領域内に存在する遺伝子の検討を行うことにより、原因遺伝子を解明して行く予定である.
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