研究概要 |
22q11.2欠失症候群/(CATCH22)は、円錐動脈幹異常顔貌症候群(Conotruncal anomaly face syndrome:CAFS)/velo-cardio-facial症候群のほとんどとDiGeorge症候群(DGS)さらにはOpitz-GBBB症候群のうち、円錐動脈幹異常顔貌(CAF)を伴い染色体22q11.2に欠失を認める。すなわちこれら四症候群で染色体22q11.2に欠失を認めた表現型は、常にCAFを伴うが他の表現型は重なり合いながら広範囲のスペクトルを呈するため我々は、22q11.2欠失症候群と呼称することにした。本研究は、我々の教室で長年に渡り、臨床研究を続けてきたDGSを含むCAFSに関して分子遺伝学的アプローチを試み、染色体22q11.2の欠失領域と表現型の関係を検討することを通じて、本症候群の原因遺伝子を探ることを目的とした。表現型と欠失領域との関係を調べるため、N25DGCRプローブにて22q11.2に欠失の認められた180例(CAFS:162例、DGS:18例)を対象として、染色体22q11.2の責任領域に存在する20種類のプローブを用いてFISH法を行い、欠失領域の大きさの検索を行った。その結果CAFSでは欠失のテロメア端に5種類のタイプが存在し、欠失が一番大きいタイプ(A)が最も多く91%で、中間型のBタイプが4%、より短いタイプC、D、Eが6%であった(Hum.Genet.103;70-80,1998)。DGSでは18例全例でテロメア端はAタイプであった。我々は最近、22q11.2欠失症候群の主たる原因となる遺伝子がユビキチンファミリーのUFD1Lである可能性を示した(Science 283;1158-1161,1999)。このことから先天性の頭頚部および心臓奇形の発症に、ユビキチン関連蛋白質分解過程という分子メカニズムが関与する可能性を示されたことにより、この領域における奇形発症の分子メカニズムを解明する端緒を開いた。UFD1L遺伝子の欠失のないCAFSの患者の存在、さらには多様な病態と遺伝的異質性をもつ本症候群の主たる原因をUFD1L遺伝子の欠失だけで説明することは困難である。したがって今後、多様な表現型、遺伝的異質性をもつ本症候群の疾患発症に主に関わる原因遺伝子の同定とそれらの機能を様々な角度から検討し、本症候群の成因、および発症のメカニズムの全容解明を行う予定である。
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