研究課題/領域番号 |
09670845
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
中西 敏雄 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (90120013)
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研究分担者 |
門間 和夫 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (80075233)
松岡 瑠美子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (50120051)
萩原 誠久 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (00180802)
相羽 純 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (80138891)
太田 真弓 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (50277216)
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キーワード | 動脈管 / 内皮細胞 / カルシウム / エンドセリン / 血管 |
研究概要 |
動脈管標本:「酵素濃度変化→内皮細胞膜電位変化→細胞内Ca濃度変化→内皮由来収縮因子ないし弛緩因子産生放出」の過程が成り立つのかを、動脈管を用いて検討した. 動脈管から1)内皮細胞を除去しても収縮が起こった. 2)内皮細胞と内皮下の細胞外マトリックスを除去しても収縮が起こった. 3)内皮細胞と、細胞外マトリックス、さらに平滑筋細胞、つまり内膜全てを除去すると動脈管収縮は起こらなくなった. Ca濃度測定装置を用い、動脈管組織内細胞内Ca濃度はCa感受性色素fura-2を用い測定した.血管に蛍色素fura-2をとりこませ、励起光をあて、蛍光の強さから細胞内Ca濃度を測定した.灌流液やバス内液と平衡状態になるガスの酵素濃度を変え、灌流液中の酵素分圧を変化させた. 動脈管から1)内皮細胞を除去しても細胞内Ca濃度は上昇した. 2)内皮細胞と内皮下の細胞外マトリックスを除去しても細胞内Ca濃度は上昇した. 3)内皮細胞と、細胞外マトリックス、さらに平滑筋細胞、つまり内膜全てを除去すると細胞内Ca濃度は上昇しなくなった. エンドセリン測定:動脈管組織のエンドセリン濃度測定を酵素免疫法で測定した. 動脈管から1)内皮細胞を除去するとエンドセリン濃度は上昇しなくなった. 2)内皮細胞と内皮下の細胞外マトリックスを除去してもエンドセリン濃度は上昇しなくなった. 3)内皮細胞と、細胞外マトリックス、さらに平滑筋細胞、つまり内膜全てを除去するとエンドセリン濃度は上昇しなくなった. 内皮細胞標本:内皮細胞は、初代培養内皮細胞(4-7日培養)を用いた.胎生28日(満期は31日)の妊娠家兎を帝王切開し胎仔をとりだした.胎仔から大動脈、肺動脈、動脈管を摘出し、血管から内皮細胞を分離した.培養はカバーグラス上で行い、カバーグラス上の培養細胞をそのまま用いた. (1)低酸素状態から酵素を投与した場合、内皮細胞の細胞膜電位は脱分極した. (2)低酵素状態から酵素を投与した場合、内皮細胞の細胞内Ca濃度は一過性に上昇した. 以上の実験結果は、動脈管の内細胞は酵素濃度変化に反応し、Ca濃度が上昇し、エンドセリンを遊離するが、動脈管の収縮には重要な役割をはたしておらず、動脈管の収縮には別のより重要な機構が存在することを示唆する.
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