研究課題/領域番号 |
09670856
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
古賀 靖敏 久留米大学, 医学部, 講師 (00225400)
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研究分担者 |
渡辺 順子 久留米大学, 医学部, 助手 (40258489)
矢野 正二 久留米大学, 医学部, 助手 (00220202)
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キーワード | ミトコンドリア脳筋症 / ミトコンドリアDNA / ミトコンドリアtRNA / 点変異 / RNAプロセッシング / ミトコンドリアRNA / 電子伝達系酵素 / 母性遺伝 |
研究概要 |
神経筋疾患領域での難病ミトコンドリア病は、真核細胞でのエネルギー合成の中心であるミトコンドリアの機能障害を特徴とし、ミトコンドリアDNAの異常に起因する遺伝病である。1990年、MERRFでミトコンドリアtRNAの点変異が見いだされて以来、MELAS、PEO、家族性特発性心筋症、脳筋症、糖尿病など多くの疾患、病態でミトコンドリアtRNAの点変異が報告されており、現在では人の遺伝病としては最も頻度の高い疾患と考えられている。中でもMELASで報告されたA3243Gの点変異は、遺伝的病因の判明した日本人糖尿病患者でも報告され、このミトコンドリア点変異による糖尿病は日本人で少なくとも6万人と推定されている。同じ遺伝子変異を持つMELASの研究では、世界で初めてヒトミトコンドリアRNAのプロセッシング異常が患者細胞で存在することを報告し、その異常RNAをRNA19と銘々した。新たに発見された異常RNA量は、酸素消費に対して明確な逆相関が認められたことから(Muscle Nerve 1995 S3:119-123)、本症で電子伝達系機能障害の病因の一つに、ミトコンドリアRNAのプロセッシング異常が提唱された。実際の患者臓器でも、このRNA19が異常蓄積していることを証明し報告した(Ann Neurol 1996 40:172-180)。今回我々は、患者臓器のRNA19分画における異常tRNA含量は、DNAの異常tRNA含量に比べて明らかに高く、異常tRNA配列がプロセッシング出来にくい事を直接証明し報告した(Ann Neurol in press)。このことは、ミトコンドリアtRNAの異常症の分子病態を解明する上で、電子伝達系機能低下はタンパク合成におけるtRNA機能不全とRNAのプロセッシング異常の両面からアプローチしなけれべならないことを示している。
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