本研究のプロジェクトは、ムコ多糖症IVA型(GALNS:N-acetylgalactosamine-6S sulfatase欠損症)のモデル動物を作出し、本症の病態解析および新たな治療法を開発することを目的とした。マウスGALNS cDNAおよびゲノム遺伝子をクリーニングした。さらにゲノム遺伝子断片をNeo+TKベクターに組込み、ES細胞に導入し、positive cloneを得た。現在キメラマウスを作成中である。 1)ムコ多糖症IVA型(GALNS:N-acetylgalactosamine-6S sulfatase欠損症)のモデルマウスを作成するにあたって、マウスGalnsゲノム解析を行ったところ、ヒトと同様全長約40kbで、14個のエクソンと13個のイントロンを含んでいた。5′上流領域の塩基配列は、ヒトGALNSはTATAボックスやCCAAT配列はなく、house keeping geneのプロモーター領域に特徴的なGCボックスを4個もっていたが、マウスでも3個のGCボックスが認められた。またヒト遺伝子-254〜-306bpの52bpはマウスと高いホモロジーが見られた。かく、全エクソン・イントロン境界領域の配列、プロモーター領域の配列、転写開始点を決定した。さらにマウスGALNS遺伝子座位は8番染色体上に存在した。またマウスの数種類の臓器からのmRNAに対してnorthern blotを行い、各臓器におけるmRNAの発現量をみたところ、腎、肺、肝、卵巣、心、脾での発現は認められたが、脳での発現は極めて低く、ヒトと同様の傾向を示した。この結果から、知能障害を認めないムコ多糖症IVA型の病態解析としてマウスが活用できる可能性を確認した。ゲノム遺伝子断片をNeo+TKベクターに組込み、ES細胞に導入し、positive cloneを得た。現在キメラマウスを作成中である。モデルマウスの誕生に期待したい。
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