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1998 年度 実績報告書

グルココルチコイドによるアポトーシスの分子機序

研究課題

研究課題/領域番号 09670861
研究機関国立小児病院(小児医療研究センター)

研究代表者

宮下 俊之  国立小児病院, 小児医療研究センター・先天異常研究部・遺伝染色体研究室部長, 室長 (60174182)

キーワードグルココルチコイド / アポトーシス / カスペース / 限定分解 / ミトコンドリア
研究概要

グルココルチコイド(GC)はアポトーシスを誘導することにより抗腫瘍効果を発揮するが、その詳細は不明な点が多い。今回我々は昨年に引き続き、アポトーシス実行分子として知られるカスペースファミリーと呼ばれる一群のプロテアーゼのうち、いずれの活性化がGCによるアポトーシスに関与しているか、またカスペース阻害剤がアポトーシスで見られるミトコンドリアやDNAの変化にいかなる影響を与えるかを白血病細胞株を用いて解析した。
白血病細胞株697はデキサメタゾン(DEX)でアポトーシスに陥るが、その際広範囲のカスペース阻害剤であるzVAD-fmkを加えると、ミトコンドリアの膜電位低下、活性酸素の産生、細胞死そのものが効率よく抑制された。一方でカスペース3様プロテアーゼに特異的な阻害剤Ac-DEVD-CHOはDNAの断片化は抑制したものの、ミトコンドリアの変化及び細胞死そのものはほとんど阻害しなかった。以上の点からGCで誘導されるアポトーシスにおいてzVAD-fmkで阻害されAc-DEVD-CHOで阻害されないカスペースがミトコンドリアの変化より上流に存在することが示唆された。
カスペースは前駆体として合成され、限定分解により活性化されることがわかっている。GC感受性白血病細胞株697及びJurkatをDEXで処理し、様々な時間経過で蛋白質を抽出して抗力スペース抗体を用いてウェスタンプロットを行った。その結果、多くのアポトーシスの際、カスペース力スケードの下流で活性化されることが報告されているカスペース3は限定分解を受けていないことが明らかとなった。そのかわりにやはり下流のカスペースであるカスペース6、7が限定分解により活性化されていることがわかった。以上の点からGCによるアポトーシスはカスペース3が関与しない特殊な経路をとるアポトーシスであることが明らかとなった。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Miyashita,T.,et al.: "Intracellular aggregate formation of dentatorubral-pallidoluysian atrophy (DRPLA)protein with the extended polyglutamine." Biochemical and Biophysical Research Communications. 249(1). 96-102 (1998)

  • [文献書誌] Takayama,S.,et al.: "Expression and location of Hsp 70/Hsc-binding anti-apoptotic protein BAG-1 and its variants in normal tissues and tumor cell lines." Cancer Research. 58(14). 3116-3131 (1998)

  • [文献書誌] Nishita,M.,et al.: "Nuclear translocation and increased expression of Bax and disturbance in cell cycle progression without prominent apoptosis induced by hyperthermia." Experimental Cell Research. 244(1). 357-366 (1998)

  • [文献書誌] Miyashita,T.,et al.: "Investigation of glucocorticoid-induced apoptotic pathway:processing of caspase-6 but not caspase-3." Cell Death and Differentiation. 5(12). 1034-1041 (1998)

  • [文献書誌] 宮下俊之: "Bcl-2とアポトーシス" 別冊・医学のあゆみ. 41-43 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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