研究概要 |
汎発性膿疱性乾癬は全身の潮紅と無菌性膿疱を多発する、発熱、関節痛などの全身症状を伴う原因不明の難治性疾患である.誘発因子として上気道感染等の感染症、妊娠、薬剤等がある.HLA-A2と相関し、遺伝的素因が発症に関わっている.HLAは抗原ペプチドと結合するレセプターである.北海道大学および本邦における汎発性膿疱性乾癬患者のHLA血清型およびDRB1、DQB1遺伝子型を比較検討した.北海道大学および関連病院を受診した汎発性膿疱性乾癬患者15名、多施設の同患者26名を対象とし、対照はHLA1991Proceedings of the eleventh international histocompatibility workshopand conference.に記載された日本人に拠った.北海道における汎発性膿疱性乾癬ではHLA-A2、DRB1^*0803が高頻度であった.多施設においては、DRB1^*0803の頻度は高くなく、DQB1^*03群が高い.DRB1^*0803は,北海道に多いアイヌ民族にでは,逆にその頻度が低いと報告されており,母集団の遺伝的相違による結果の解離とは考えにくい.HLA-DRB1^*0803はハンセン氏病ではその頻度が低く,HIVウイルス感染者にみられるHAMで頻度が高いことが報告されており,免疫反応性の特異性がこのタイプのHLAを有するものにあることが考えられる.感染などが誘因となり,感染源に対する反応性が汎発性膿疱性乾癬を発症に関わっていると考える.DRB1^*0803のHLA-DRB1^*0801,0802/0804との相違はそれぞれ57番目のアミノ酸Ser->Asp,67番目のアミノ酸Phe->Ile一つのみである.57の67の距離はα鎖の2回転分であり,67はポケット7,57はポケット9を形成している.これらのアミノ酸の構成が,免疫応答に関与していることは十分考えられる.
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