今回、われわれは乾癬病変部に膿疱の出現する機序を解明するため、尋常性乾癬患者鱗屑抽出液中のIL-8値を膿疱性乾癬鱗屑、正常人鱗屑抽出液と比較し、さらに尋常性乾癬鱗屑とTNFα処理好中球のinteractionにより好中球が産生するIL-8産生亢進が、膿疱性乾癬の鱗屑抽出液により阻止されるかどうかを比較検討した。 尋常性乾癬患者と膿疱性乾癬患者病変部鱗屑抽出液中のIL-8値を比較したところ、尋常性乾癬患者のもののIL-8値が膿疱性乾癬、正常人鱗屑抽出液に比較して高値であり、また尋常性乾癬患者鱗屑と未処理好中球を反応させても、好中球IL-8産生能は変化しないことを確認した。 次に尋常性乾癬患者鱗屑、膿疱性乾癬患者鱗屑、正常人鱗屑とTNFα処理好中球をinteractionさせた結果、尋常性乾癬患者のものにIL-8産生亢進がみられ、膿疱性乾癬患者、正常人のものには変化が見られなかった。以上より、膿疱性乾癬では、尋常性乾癬に見られるようなTNFαによる好中球のpriming効果をそれ以上は受けないことがわかった。
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