研究課題/領域番号 |
09670868
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
皮膚科学
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
高田 実 金沢大学, 医学部, 助教授 (20154784)
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研究分担者 |
竹原 和彦 金沢大学, 医学部, 教授 (50142253)
八田 尚人 金沢大学, 医学部, 助手 (30272959)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | 悪性黒色腫 / P16 / 転移 / LOH / 癌抑制遺伝子 / 6番染色体 / マイクロサテライト |
研究概要 |
本研究では、日本人の皮膚悪性黒色腫患者から得られた検体を用いてその遺伝子異常を解析した。まず始めに、原発腫瘍46例を対象とし、癌抑制遺伝子p16の不活性化を系統的に検討した。その結果、46例中11例(24%)に9p21のLoss of heterozygosity(LOH)が検出されたが、これらの腫瘍ではp16遺伝子の体細胞変異やプロモーター領域のCpG islandのメチル化による転写の抑制は認められなかった。一方、p16蛋白の発現の消失が6例に、p16遺伝子のheterozygous変異が1例において認められた。以上の成績から、皮膚悪性黒色腫の原発巣におけるp16INK4a遺伝子の不活性化は、黒色腫細胞株に見い出されるほど高頻度ではないことが示され、さらに、9p21には黒色腫の発癌に重要な役割を演じるp16以外の未知の癌抑制遺伝子が存在する可能性が強く示唆された。次に、悪性黒色腫の転移に関与する遺伝子異常を明らかにするために、14例の患者から得られた原発腫瘍と転移を対象として、LOH解析,p16遺伝子変異およびp16蛋白発現の成績を比較検討した。その結果、p16蛋白の発現の消失と6q、11q、および7qのLOHが黒色腫の転移能の獲得に重要な役割を演じていることが示された。また、個々の症例における原発腫瘍と転移腫瘍の遺伝子異常の比較により、黒色腫はその進展に伴い、複雑なクローン展開を示すことが示唆された。さらに、microdissectionとLOH解析を併用したより詳細な解析により、黒色腫の原発腫瘍内には遺伝的に異なる複数の腫瘍細胞クローンが存在すること、転移は時に原発巣内の微小なサブクローンから発生すること、6qのLOHが転移に重要な役割を演じていることが示された。
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