研究概要 |
主要組織適合抗原複合体(MHC)クラスII分子を表出したケラチノサイトをスーパー抗原提示細胞として用い、黄色ブドウ球菌をマイトマイシンC(MMC)処理したもの、あるいは黄色ブドウ球菌の培養上清をスーパー抗原ソースとして、T細胞増殖反応を検討した。その結果、培養上清の場合はT細胞増殖がみられたものの、MMC処理黄色ブドウ球菌では反応が認められなかった。しかしリゾチーム添加により黄色ブドウ球菌でも反応性がみられたため、黄色ブドウ球菌はスーパー抗原以外の細胞障害性毒素を放出することにより、ケラチノサイトの抗原提示能を損なわせてしまうものと考えられた。こうした毒素の中ではα-毒素が細胞障害性物質として挙げられるため、α-毒素のケラチノサイトへの影響を検討した。α-毒素はケラチノサイトを障害させ、そのDNA合成,バイアビリティを著しく低下させた。α-毒素の感受性は、ケラチノサイト>単球>β細胞>T細胞の順であり、ケラチノサイトはα-毒素に対し著しく細胞障害を受けた。α-毒素の失活度は,スーパー抗原のそれに比較して高く、表皮という環境でクラスII陽性ケラチノサイトの存在下で、スーパー抗原に対するT細胞増殖反応が起こる可能性は示唆された。
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