プロスタグランジン(PG)受容体欠損マウス皮膚の生理学的、病理学的解析

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09670876
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 井階 幸一 京都大学, 医学研究科, 助教授 (00135568)
• 研究分担者: 錦織 千佳子 京都大学, 医学研究科, 助手 (50198454)
• キーワード: プロスタノイド / プロスタノイド受容体 / ノックアウトマウス / 紫外線 / 接触皮膚炎 / 創傷治療

研究概要

PGE(PGE受容体にはEP1、EP2、EP3、EP4の4種のアイソフォームが存在する)、PGD、PGF、PGI、TX、合計8種のプロスタノイド受容体があるが、今回はPGD受容体、TX受容体それぞれを欠損したノックアウトマウスの皮膚を肉眼的、組織学的に観察し、正常の同系マウスと比較した。しかし、皮膚には肉眼的、組織学的に、有意な異常はみられなかった。次いで、マウス皮膚に中波長紫外線(UVB)を照射することにより、皮膚の炎症を作製し、耳介の紅斑、腫脹をノックアウトマウスと正常マウスと比較した。ノックアウトマウスの方が炎症反応がやや弱い傾向がみとめられたが、組織学的には日焼け細胞(Sunburn cell)などの分布、数には変化はみられなかった。また、マウス耳介フォルボールエステルを塗布し、一次性刺激性皮膚炎を生じさせ、耳介の紅斑、腸脹をノックアウトマウスと正常マウスとを比較したが有意な変化はみられなかった。マウス耳介にDNCBを塗布し、アレルギー性接触皮膚炎を生じさせ、耳介の紅斑、腸脹をノックアウトマウスと正常マウスとを比較したが有意な変化はみられなかった。これらの炎症の組織学的所見もノックアウトマウスと正常マウスとでは同一であった。さらに、マウス背部に実験的皮膚潰瘍を作製し、その創傷治癒を比較した。PGD受容体ノックアウトマウスと正常マウスとでは差がみられなかったが、TX受容体ノックアウトマウスでは、正常マウスに比較して、若干、創傷治癒に遅延がみられた。以上の結果からPGD、TX、など単独のプロスタノイド受容体が欠損しても、プロスタノイドは相互に類似しており、他のプロスタノイドが代償するので、全体としては、皮膚に異常が出現しないのではないかと考えられた。

研究成果

• [文献書誌] Morita,K: "Werner's syndeone-chromosome analysis of cultured f-broblasts and mitogen-stimulated lymphocytes" Brit J Dermafol. 136・4. 620-623 (1997)
• [文献書誌] OKano-Mitani,H: "Human melanoma cells generate Leukotriene B_4 and C_4 from leuko friene A_4" Arch Dermatol Res. 289・6. 331-336 (1997)
• [文献書誌] Ikai,K: "Serumlevel of majon basic protein indicates disease activity in atopic dermatitis" J Eur Acad Dermatol. 9・1. 54-56 (1997)
• [文献書誌] Ikai,k: "Induction of apoptosis,P^<53> and heme oxyginase (32 kD heatshck protein) by a cytofoxic prostaglandin,Δ^<12>-PGJ_2 in transfoued endothelial cells" Pros Leuko Ess Fatty Acid. (印刷中). (1998)
• [文献書誌] Sawai,T: "Cyclic adenosine mono phosphate phosphodiesterase activity in periphnol blood mononudear leukoajtes from patoents with atopic dermafifis" Brint J Dermatol. (印刷中). (1998)