肥満細胞増殖因子として知られるsteel因子を皮膚に強制発現させることにより、肥満細胞症・色素性じん麻疹モデルマウスを作成し、以下の知見を得た。 1) 肥満細胞症の発症は分泌型のsteel因子を表皮基底細胞に発現させることで達成された。膜結合型steel因子のみでは、色素細胞の増殖は見られたが、肥満細胞は増殖しなかった。 2) 肥満細胞と同時に同じ部位で色素細胞も増加したので、肥満細胞症の中で最も頻発する色素性じん麻疹のモデルとして使える。 3) steel因子の受容体(c-kit)に結合してsteel因子からシグナルを阻害する抗体の投与により、マスト細胞と色素細胞が消失したことから、それぞれの細胞はsteel因子に直接反応して増殖していることが示唆された。 4) このモデルマウスは、炎症反応の立ち上がりが早く、また炎症反応がより強いことから、肥満細胞の炎症における役割を知るのにも適当なマウスであることがわかった。
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