研究概要 |
我々の目的は表皮ケラチノサイトの細胞接着におけるclassic cadherin,desumosomal cadherinの機能を検討することである。そのため細胞外ドメインを欠失したE-cadherin,desmoglein3,desmocollin3の変異体(E-cad Δ EC,Dsg3 Δ EC,Dsc3 Δ EC)を構築し、C末端にmyc tagを挿入した。続いてこれらの変異体を発現する組換えアデノウィルスベクター(Ad)を作製した。通常の方法では組換えアデノウィルスベクターを作製できず、mutantのtoxicityの可能性があった。そのため、Cre-LoxP系を用いて作製に成功した。promoterとmutantの間に両端にLoxP配列を付けたstufferを挿入し、単独では発現しないAdとCreを発現するAdと二重感染することによりmutantoが発現することを確認した。HaCaT細胞に感染することによりほぼ100%に導入が認められた。アドヘレンスジャンクション(AJ)のマーカーとして抗b-catenin抗体をデスモゾーム(DS)のマーカーとして抗keratinの抗体を用いて二重染色した。感染後36hではDsc3 Δ ECによりDSの破壊が、E-cad Δ ECあるいはDsc3 Δ ECではAJとDSの両方の破壊が認められた。low-Caからhigh-CaへのシフトによりAJ,DSが形成されるが、Dsc3 Δ ECにより、DSの形成が阻害され、E-cad Δ ECあるいはDsc3 Δ ECではAJとDSの両方の形成阻害が認められた。以上の結果よりdesmocllinはAJとDSの両者に働いている可能性が示唆された。
|