450-kDa分子は、表皮下水疱症患者の血清が認識する自己抗原として1992年に同定されたが、正常表皮細胞のみならず、いくつかの重層扁平上皮由来の腫瘍細胞にも発現している。患者血清を用いてヒト表皮細胞由来のcDNAライブラリーからクローニングした結果、276-bpのクローンが選択され、これをプローブにしてさらにスクリーニングすると二種のクローンが得られた。一方はヒト・プレクチンであったが、他方はプレクチンとホモロジーを有する未知の分子であった。後者は276-bpのクローンとより長く重複するため、今回さらにそのcDNAを、5'RACE法により3.2kb延長し、そのカルボキシル末端側2830アミノ酸残基の配列を決定した。その結果この部分では534アミノ酸残基からなる規則的な4回の繰り返し構造が存在した。またカルボキシル末端に終止コドンを有する別のクローンも単離された為、異なるスプライシング・フォームが存在することも明らかになった。また450-kDaの抗原を認識する患者血清はこの分子に特異的なcDNAより作成した融合蛋白質とのみ反応し、従来のヒト・プレクチンcDNAから作成した融合蛋白質とは反応しなかった為、この分子を450-kDa抗原と同定し、プレクチン-2と命名した。またこのプレクチン-2をコードする遺伝子クローンを単離し、DNA塩基配列を決定したところ、その一つのクローンからXq28と同一配列が見い出された。また白血球由来のDNAを制限酵素で切断し、この分子のcDNAとXq28配列をプローブにしたサザンブロット・パターンの比較では、類似性が認められた為、プレクチン-2の遺伝子座はXq27-28に存在することが明らかになった。
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