表皮細胞に発現する450-kDa抗原(プレクチン2)の構造決定 これまでに得られたcDNAをもとに、HeLaのcDNAライブラリーから、5′RACE法ならびにプラーク・ハイブリダイゼイション法を用いて、13.8kbのcDNA塩基配列を決定した。cDNA全長は約14.8kbと予想されるので、これは93%に相当する。また後述する遺伝子構造研究から、カルボキシ末端側の534アミノ酸残基よりなる規則的な繰り返し配列は、4回存在することが明らかになった。 450-kDa抗原の遺伝子構造決定 得られたcDNAをプローブにして、遺伝子ライブラリーをスクリーニングし、オーバーラップする4個の遺伝子クローンを得た。それを解析した結果、3′側終止コドンまでの10kb間にはイントロンを見い出せなかった。この結果450-kDa抗原(プレクチン2)は、従来のプレクチンと遺伝子を異にする別の分子であることが確定した。また終止コドン付近に異なる配列が、cDNAクローンでは見い出され、異なるスプライシングフォームと考えられたが、その配列は遺伝子クローンには見い出されなかった。 450-kDa抗原特異抗体の作製 前述の繰り返し配列の一部は、従来のプレクチンの配列と異なるため、この700bpをPCRで増幅後、Tベクター次いでGlutathione S-Transferase(GST)発現ベクターに組み込み、GST融合蛋白質を作製した。現在ポリクローナルおよびモノクローナル抗体作製準備中である。またカルボキシ末端部、および従来のプレクチン特異配列に対しても同様のGST融合蛋白質を作製中である。 今後の課題 複数の遺伝子クローンが得られた為、染色体上の遺伝子座の決定をし、遺伝子異常の発見の手掛りを得る。また第3の配列を有した遺伝子クローンが得られている為、これをプローブにしてノーザンプロットを行い、発現を確認した後cDNAクローニングを開始し、他のプレクチン・ファミリー分子の同定を試みる。
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