Tight skin mouse(TSKマウス)は皮膚のコラーゲンの蓄積と種々の自己抗体を有し、全身性強皮症(SSc)の動物モデルとされている。IL-12はマクロファージから産生され、Th1細胞を増殖させ、IFN-γを誘導してTSKマウスの皮膚線維化と自己抗体産生を抑制することが想像される。そこでTSKマウスに対するIL-12発現プラスミドの病態抑制効果を検討した。3から7週齢のTSKマウスに3週毎にIL-12発現プラスミド(pCAGGS-IL-12)あるいは対照として非発現プラスミドを100μgずつ筋注した。3回と7回の筋注後に採血と脾臓および背部皮膚の採取を行い、ELISA法による血清および脾細胞培養上清中のIL-4とINF-γの測定、皮膚ヒドロキシプロリンの定量と皮膚病理組織を比較検討した。IL-12発現プラスミド筋注群では、非発現プラスミド筋注群に比べ病理組織学的に皮膚の線維化は抑制された。脾細胞の培養上清中のIL-4はIL-12発現プラスミド筋注群で平均10.8pg/ml、対照群で66pg/ml、同IFN-γはIL-12発現プラスミド筋注群で33.9ng/ml、対照群で31.7ng/mlであった。血清抗核抗体に関しては現在検討中である。このように、TSKマウスに対するIL-12発現プラスミド筋注は、Th1細胞を増殖させ、サイトカインバランスをTh1型優位に誘導することによりコラーゲン産生を減少させ、皮膚線維化抑制効果をもたらすことが示された。今回の成績はSScにおける遺伝子治療の可能性を示唆するものとも考えられる。
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