骨髄移植後GVHD(graft-versus-host disease)のマウスモデルを用いて以下の治療効果を検討した。 1.B10D2マウスの骨髄細胞1x10^7と脾細胞を9gy照射したBALB/cマウスに静注し、GVHDの発症と経過を観察した。移植する脾細胞数を1x10^7から1x10^8に変化させて観察したところ、1-5x10^7では皮疹を伴う慢性のGVHDの発生率が低く、1x10^8が最も皮疹を合併する率が高かった。1x10^8の脾細胞を移植されたレシピエントBALB/cマウスは細胞移植の約8週間後から脱毛、紅斑や痂皮形成、体重減少が始まり、移植後20週には生存率が30%台に減少した。 2.上記1.のレシピエントマウスを治療するために、リポステロイド(デキサメタゾンをsoy been oil中に封入したもの)を移植後に投与した。1回投与量は0.25mg/miceとし(正常マウスへの6カ月投与で体重の以上減少や生存率の低下、皮疹の出現などが認められなかった量)、初回投与時期を移植2日後または2週間後、以後の投与間隔を3ないし4週間とした。その結果、移植2日後、3週間後、以後4週間間隔で投与されたレシピエントは、移植後20週後の生存率が94%、皮疹の出現率が12%であった。これはsoy been oilを投与されたコントロール群の生存率37%、皮疹の出現率が43%より有意に効果が認められ、比較検討のための同力価のソルメドロールを投与した群の生存率63%と比較しても有意に高かった。 3.レシピエントマウスの皮膚、脾臓、肝臓の組織を摘出して抗マウスモノクローナル抗体で染色した。現在、リポステロイド投与群とコントロール群で比較検討中である。また、ヒトGVHD患者の皮膚を抗ヒトモノクローナル抗体で染色し、マウスの所見と比較検討中である。
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