研究課題/領域番号 |
09670896
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
真鍋 求 順天堂大学, 医学部, 助教授 (30138309)
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研究分担者 |
矢口 均 順天堂大学, 医学部, 講師 (60191095)
池田 志学 順天堂大学, 医学部, 講師 (40193198)
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キーワード | 表皮分化 / peptidylarginine deiminase / アポトーシス |
研究概要 |
角化の最終過程において、ケラチンはケラトヒアリン顆粒の主成分であるフィラグリンと結合し、ケラチンパターンと呼ばれる強固な凝集体を形成する。最近我々はこの過程において、蛋白のアルギニン残基をシトルリン残基に変換するアルギニン脱イミノ化酵素(PAD)と呼ばれる酵素が、重要な役割を果たしていることを報告してきた。 そこで本年度、我々は表現型vectorに挿入したPADの遺伝子を培養細胞内に導入し、その際におけるケラチンの形態的変化を観察することにした。まず、PADcDNAを発現型ベクターであるPECEに挿入し、これらをラット表皮培養細胞株にlipofection(Gifco)を用いて導入した。その後、カルシウムイオノフォアを細胞培養液に加え、カルシウム濃度をPADの至適条件に調節することにより、PADの活性を上昇させた。さらに、抗シトルリン特異抗体を用いた免疫組織染色法により、これらの細胞を観察した。 その結果、興味深いことに細胞質内のカルシウム濃度をPADの至適条件に上昇させたところ、内在性PADにより核膜が脱イミノ化されていた。さらに、PADcDNAを培養細胞内に導入したところ、核がアポトーシスを起こしているのが観察された。以上の所見よりPADは角化の最終過程において、カルシウム濃度の上昇に伴い、核膜に作用しアポトーシスを惹起する可能性が示唆された。PADがアポトーシス関連蛋白の一つであるとすると、多くの異常角化過程においてPADが病態形成に関与しているものと推測されるので、その詳細を解明することが今後の重要な課題であるものと思われる。
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