8-Methoxypsoralen(8-MOP)と長波長紫外線(UVA)併用による光化学(PUVA)療法は、強い免疫抑制作用を持つことが知られているが、近年、PUVA療法はphotopheresisという方法により、進行性全身性強皮症や慢性関節リウマチ、尋常性天庖瘡などの自己免疫疾患にも有効との報告がある。また、モデルマウス(MRL/lpr)でのSLE発症抑制作用も報告されている。これらの疾患に対する奏功機序は、疾患特異的なT細胞をPUVAでphotomodifyすることで、それに対する強力なcytotoxicityを誘導しようとするものであり、一種のT cell vaccination療法である。 KK-Ayマウスは、生後5-6週で自然発症するII型糖尿病モデルマウスで、高血糖と高インスリン血症を来し、組織内インスリン作用抵抗性が認められる。このマウスで、上記photopheresisの治療効果を検討した。方法は、同系マウスの脾細胞をPUVA処理した後、レシピエントに経静脈投与した。耐糖能は主にintraperitoneal glucose tolerance testで測定した。発症前の生後4週令よりPUVA療法を開始すると、有意に耐糖能が軽減したものの、発症後(尿糖陽転後)よりPUVA療法を行っても、耐糖能の軽減は認められず、発症予防に有効であった。その他、PUVA療法の有効性を得るための条件は、 i. 経門脈ではなく、経静脈的な免疫が必要。 iii. 同系マウス牌細胞の投与が必要。 iv. 同系マウスならば、発症前のマウスの牌細胞でも有効。 v. 1回の免疫で有効。 vi. 抗T細胞モノクローナル抗体と補体で処理した後、Percoll gradientで死細胞を取り除き投与すると無効で、免疫にはT細胞が重要であると考えられた。
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