研究概要 |
ヒトメラノーマ由来の細胞株IIMOS2においては、自然にアポトーシスが頻発し、しかも株化細胞として継代増殖を続けている。このメラノーマ細胞の生物学的特性を明らかにするために、自発的なアポトーシスの見られないヒトメラノーマ細胞株HMHY2を対照として実験を行った。その結果、HMOS2においては、各種成長因子の添加、あるいは除去によってアポ卜ーシスの発現頻度は変化しなかった。Fasリガンドを介する経路について検討し、抗Fas抗体によってアポトーシスが著明に増加した。紫外線照射もアポトーシスの増加を来した。9番染色体における遺伝子欠失を検討し、HMHY2ではp15,pl6の欠失を認めたが、IIMOS2では欠失が見られなかったという結果を得ている。 今年度は 1. in vivoにおける腫瘍形成能を見るためBALB/cヌードマウスの大腿筋肉内に培養細胞株IIMOS2とHMHY2を注射した。約1ヶ月後に両株ともに腫瘤を形成した。腫瘍形成率、腫瘍の大きさなどに差は見られなかった。病理組織標本上では、HMOS2株の腫瘍にアポトーシスを多数認めた。今後、このin vivo実験系は癌化学療法や放射線療法の効果を比較するために有用であると思われる。またin vivo実験系で転移を起こすことができれば、さらに有用な系として利用できる。 2. これまでの報告では、悪性黒色腫細胞は高倍数体の頻度が高いとされている。そこで、染色体解析、フローサイトメトリー解析、FISH解析を行ったところHMOS2は4倍体、HMHY2-は6倍休を示した。
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