ヒトメラノーマ由来の細胞株HMOS2は、自然にアポトーシスが頻発する。そのアポトーシス発生の機序を検討し、抗Fas抗体によってアポトーシスが著明に増加した。このことから、Fasリガンドを介する経路が働くものと推定した。自発的なアポトーシスの見られないヒトメラノーマ由来の細胞株HMHY2を対照として紫外線照射の効果を調べたところUVB15J/m^2において、HMOS2細胞は著明なアポトーシスの増加を示したが、HMHY2細胞では少数のアポトーシスを認めたのみであった。 癌の治療では腫瘍細胞に選択的な細胞死を誘導することが目的となる。小児白血病のような化学療法による治癒の期待出来る悪性腫瘍においては、アポトーシスが腫瘍の治癒に導く機序であると考えられている。 HMOS2とHMHY2の培養細胞をBALBcヌードマウスの大腿筋肉内に注射すると腫瘤が形成される。10^6個の細胞を注射した場合、腫瘍形成率は共に100%に近く、腫瘍の大きさにも大差は見られなかった。病理組織標本上ではHMOS2細胞の腫瘍においてアポトーシスを多数認めた。腫瘍形成の見られたマウスに3GyのX線を照射し、治療効果について検討した。その結果HMOS2細胞によって作成した腫瘤とHMHY2細胞によって作成した腫瘤はともに同程度の縮小を示し、両者の問に臨床レベルでの差は認められなかった。病理組織標本上でも、細胞の壊死とアポトーシスの判別が困難であり、両者に大きな差異は認められなかった。またTUNNNEL法によっても判別は困難であった。
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