CD82は、Transmembrane 4 superfamily(TM4SF)に属し様々な細胞上に発現してる。このCD82は、メラノーマ細胞を含む腫瘍細胞上にも発現しており、我々の実験によりこの発現性を亢進させると細胞外基質(ECM)に対する接着性が増強することが判明した。また我々は過去にT細胞上のCD82発現性を亢進させると、homotypic cell aggregationが増強されることを報告している。一方最近CD82の属するTM4SF proteinの腫瘍細胞上の発現性低下が、転移能と相関していることが報告されている。そこで我々は、腫瘍細胞上のCD82の発現性低下が腫瘍転移に相関する機序として、ECMに対する接着性の変化のみならず、免疫担当細胞、特にT細胞との相互作用に影響を及ぼしている可能性はないかを検討することにした。 まず我々は、CD82低発現メラノーマ細胞株と、これにCD82cDNAを導入することによりCD82を高発現させた細胞を、Jurkat T細胞とco-cultureし、細胞間の接着性に違いが生ずるかどうかを検討してみた。その結果、CD82高発現性メラノーマ細胞のほうがより強くT細胞と接着することが判明した。そこで我々は、腫瘍細胞上のCD82の発現性の違いが、実際いT細胞活性化に影響を与えうるかを検討するため、各メラノーマ細胞をstimulatorとし、正常末梢血リンパ球をeffectorとした、mixed lymphocyte tumor reaction(MLTR)を行い、リンパ球の増殖反応の違いを比較検討することにした。その結果、CD82高発現性メラノーマ細胞のほうがより強いallogeneicityを示した。以上の結果は、腫瘍細胞上のCD82の発現性がT細胞の活性化にも影響を与えうることを示唆している。
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