研究概要 |
【概要】電磁場や電磁波は生体に悪影響があるという疫学調査が近年欧米より相次いで報告されている。画像診断の分野ではそれらを用いたMRI装置が普及しているが、生体に与える影響は未だ明確に確立されていない。本研究では変異部位が明らかになっており比較的変異の受けやすい細菌を用い、電磁波、電磁場の変異原性の有無を検討するものである。 【方法】Ames testは、化学物質の変異原性検出に確立された方法であり本研究はこれに基づいて進行されている。今回本研究で用いている細菌はSalmonella typhimurium系であり、Salmonella typhimurium LT2由来のヒスチジン要求性変異株(TA98,TA7001,TA7002,TA7003,TA7004,TA7005)が、変異原に暴露されることにより、ヒスチジンオペロンで遺伝子変化を生じ、ヒスチジン非要求性に変化する特質を用いている。同菌6株を培養し、6.3Tの静磁場中に一定時間ごとに暴露し、静磁場による変異の有無を確認中である。 【中間発表】現在のところ6.3Tの比較的強い静磁場暴露のみでは、統計学的に有意と考える菌の変異を認めていない。しかし、一定時間磁場暴露したものは、特定のmutagenに対して抵抗性を有するという本研究の仮説とは異なるデータが散見され追試中である。 【今後の方針】mutagenに対する抵抗性獲得の有無が存在するかの確認を行い、その特性が存在するときは原因検索を行う予定としている。また、MRI検査と同じ環境である電磁場と電磁波暴露が同時に行なわれた際の変異原性確認は現時点で行っておらず、本年度の研究課題である。
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