研究課題/領域番号 |
09670909
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
放射線科学
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
淀野 啓 弘前大学, 医学部・付属病院, 助教授 (30113848)
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研究分担者 |
阿部 由直 弘前大学, 医学部, 教授 (10167950)
野田 浩 弘前大学, 医学部・付属病院, 助手 (00292152)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | 金属ステント / 血栓形成 / 内膜増殖 / 動脈硬化 / コーティング / 実験モデル |
研究概要 |
(目的)動脈狭窄・閉塞に対する金属ステント留置術の長期開在成績に強く影響する因子として過剰な内膜増殖が示唆されている。我々は金属ステントの性状をコーティングすることによって変え内膜増殖の抑制が図られるかどうか実験することができたので報告する。 (材料と方法)使用した金属ステントは、modified Z stent(GZS-l0-1.5-CF)である。コーティングの種類は、テフロン、シリコン、親水ポリマーの各種コーティングであった。 血栓予防効果をみるために、非コーティング、各種コーティング金属ステントを人血中に留置したままにして取り出し血栓の付着程度を観察した。 内膜増殖の程度をみるために雑種成犬12頭に、静脈麻酔下でこれら4種類のステントを腸骨動脈に6ヶ月間留置し、その後深静脈麻酔下に薬殺し腸骨動脈を摘出し目視及び鏡顕下に観察し内膜増殖の状態を比較検討した。 (結果)金属ステントへの血栓付着試験では、親水ポリマーコーティングステントに明らかな血栓形成傾向がみられた。金属ステント留置後の内膜増殖程度の比較試験では、非コーティング、コーテイングの4種類のステント内側に薄い偽内膜が形成され、それらの間に差はなかった。HE染色、アザン染色による顕微鏡下の観察では、金属ステント表面に100-300ミクロンの薄い均一な偽内膜形成が見られた。偽内膜は厚いコラーゲン線維でできていてさらに内部に萎縮した線維芽細胞が見られた。炎症性細胞浸潤は見られなかった。以上の結果より、コーティングの如何に関わらず金属ステントに対する生体反応は、きわめて穏やか瘢痕性反応であると結論づけることができた。本研究の当初の目的を達成することができなかったが、金属ステント留置による血管侵襲はきわめて軽微で生体にとって安全であることが証明されたことは有意義であった。
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