研究概要 |
1. p53ノックアウトマウスおよびp53野生型マウス;p53(-/-)CBA/OYC(Homozygous).p53(+/-)CBA/OYC(Hetrozygous),p53(+/+)CBA/OYC(Wild type)に,200kVX線で,1回5Gyの照射をおこない,6時間後または72時間後に,全身臓器を摘出し,ホルマリン固定パラフィン包埋切片を作製して,H.E.染色,TUNEL染色で,照射によって誘発された細胞死を検索した.非照射時の胸腺,脾等のリンパ球.小腸粘膜のクリプ卜細胞や睾丸の精原細胞にアポトーシスが散見されたが,p53(+/+),(+/-),(-/-)の3群間に有意な差は認めなかった.ただし,精原細胞のアポトーシス様細胞死の形態は定型例とやや異なっていた.その他の臓器を構成する細胞にはアポトーシスはほとんど認めなかった.5Gy照射後6時間では,p53(+/+),(+/-)の胸腺,脾等の小型リンパ球,小腸粘膜のクリプト細胞や睾丸の精原細胞におけるアポトーシスの増加を認めた.一般にp53(+/+)の方が,p53(+/-)に比してアポトーシスは高率だったが.睾丸では.この傾向がやや不明瞭だった.なお,p53(-/-)では,いずれの細胞でもアポトーシスの有意な増加は認めなかった.睾丸では,精細管を12ステージに分けて検索すると,精原細胞のアポトーシスは,Stage 10-12,stage 1-6に相当するA2,A3,A4,Intermediate,B精原細胞に認められ,特に,Stage 1-6のA4,Intermediate,B精原細胞に高率だった.また,睾丸では,p53の遺伝子型にかかわらず、TUNEL陽性の微数分裂が認められたが,形態学的はアポトーシスとは異なっていた. 2. p53(-/-)CBA/OYC(Homozygous),p53(+/-)CBA/OYC(Hetrozygous)マウス線維芽細胞細胞由来の可移植性線維肉腫を樹立し,p53の有無と感受性,アポトーシス(p53依存性および非依存性)を検討した.非照射時のアポトーシスの頻度には,明らかな差を認めなかったが,照射後は,p53(+/-)の方が有意に高率にアポトーシスを認めた.
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