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1999 年度 実績報告書

放射線肺繊維症における細胞増殖制御遺伝子の役割

研究課題

研究課題/領域番号 09670925
研究機関滋賀医科大学

研究代表者

木村 博  滋賀医科大学, 医学部, 教授 (00110560)

キーワード組織の繊維化 / X線影響 / アポトーシス誘導 / p53がん抑制遺伝子 / DNA2本鎖切断 / DNA依存性タンパク質リン酸化酵素
研究概要

本研究によって得られた結果を以下に示す。培養繊維芽細胞を用いてDNA-PK(DNA2本鎖切断を認識し、他のタンパク質をリン酸化する酵素で、スキッド遺伝子はこの酵素の触媒サブユニットをコードしている)が放射線感受性のみならず、放射線誘発アポトーシス率にも強く関与していることを示した。特記すべき事は、スキッド細胞(DNA-PK欠損)で、放射線感受性は2倍ほどしか増感されないのに、アポトーシス誘発率は7-8倍増加することである。同様に、p53遺伝子はアポトーシス誘導に関与し、この遺伝子のノックアウトによりアポトーシスを起こしにくくなることが報告されている。最近の報告によると、肺繊維症において、繊維化に先行して上皮性細胞にp53遺伝子の発現上昇がみられ、その結果、上皮性細胞の脱落および脱落後の空隙を埋めるように繊維芽細胞への置換が起こるらしい。このことは、繊維症の発症メカニズムを知る上で大変に興味深い知見である。われわれは、スキッド細胞とp53欠損細胞を用いて得られた上述のデータをもとに、スキッドマウスとp53ノックアウトマウスにおいて、放射線がどのようにアポトーシスを誘導し、繊維症へと繋がるのかを、インビボの系で調べようと実験を計画した。両方のマウスにおいて、対照に用いたBalb/cマウスに比べ、はるかに激しい皮膚潰瘍、瘢痕化が起こることを見出した。照射されたBalb/cマウスとスキッドマウスの皮膚の組織像を観察することで、このことを確認した。今後、この系を用いて研究を発展させたいと考えている。TUNEL法などによるアポトーシス誘導の検出やp53遺伝子発現などを調べ、繊維化との関係を研究していく予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Nyaruba M.M.: "Early changes in bone mineral content caused by acute irradiation are not observed after daily fractionation: A study by dual-energy X-ray absorptiometry"J. Bone Miner. Metab.. 15. 213-217 (1997)

  • [文献書誌] Ikebuchi M.: "Recovery from sublethal damage is reversibly inhibited by hypertonic saline"Radiat. Res.. 150. 416-422 (1998)

  • [文献書誌] Kimura H.: "Neocarzinostatin-induced mutations at the hprt locus in exponentially growing CHO cells, compared with spontaneous mutations"Carcinogenesis. 19. 791-796 (1998)

  • [文献書誌] Meng H.: "Apoptosis induced by X-rays and chemical agents in murine fibroblastic cell lines with a defect in repair of DNA double-strand breaks"Int. J. Radiat. Biol.. 73. 503-510 (1998)

  • [文献書誌] Nyruba M.M.: "Bone fragility induced by X-ray irradiation in relation to cortical bone-mineral content"Acta Radiologica. 36. 43-46 (1998)

  • [文献書誌] Kitamura K.: "Characterization of the human dihydropyrimidinase-related protein 2 (DRP-2) gene"DNA research. 6. 291-297 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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