研究概要 |
I 肺腺がんについての画像・病理対応 X線写真で認識され難い肺腺がんのCT像の特徴は(1)サイズが15mm以内と小さいこと,(2)正常肺との境界が平滑でなく,(3)結節周囲がスリガラス状を示すことであった。特に(3)は肺高分化腺がんの特徴としてCT診断上有用な所見であり,組織標本上腫瘍が肺胞壁を被露するように進展すると共に含気を少なからず保持する部分に相当した。CT上のスピキュラ形成は腫瘍で厚みを増した肺胞隔壁が正常肺に移行する部分で重なり合った結果と考えられた。腺がんの中心部に線維化がある例では特徴的な胸膜陥入が見られた。胸膜陥入はヘリカルCTと3次元表示技術により肺表面に形成される複数の集中する溝として描出されることが分かった。胸膜陥入の画像診断は鮮鋭な線状影のみ注目されているが,術野と標本との対比で陥入に平行にスキャンされると淡い帯状影となることが確認できた。ヘルカルCTの導入で胸膜陥入について以下の興味ある所見が発見された。即ち,腫瘍の肺門側の境界が凹凸不整であっても腫瘍の胸壁側境界が複数の陥入線の深部で平滑で直線状又は緩く凹む所見である。このCT像を術野,伸展標本,虚脱標本などと比較検討した結果腫瘍は肺胸膜と面で接し,その部分が胸壁から離れて引き込まれると共にその面が隣接肺によって覆われることで説明できた。腫瘍が2枚の胸膜で境される結果、境界が平滑となると説明された。 II 間質性肺炎に於ける蜂巣肺のCT診断 肺胞領域の構造改築を示す重要所見が蜂巣肺であるが,近年HRCTの精度が高まり蜂巣肺を構成するのう胞が1mm内外でも診断しうるかどうかが問われている。CT上胸膜下にスリガラス状影があり,それに微細な網状影と胸膜下の微小のつ胞影が同時に見られる場合、顕微鏡的蜂巣肺に相当することが生検肺との比較で分かった。
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