研究課題/領域番号 |
09670933
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
糸氏 英一郎 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (90243302)
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研究分担者 |
楠本 昌彦 国立がんセンター中央病院, 放射線診断部, 医員 (90252767)
山崎 克人 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (50210381)
足立 秀治 神戸大学, 医学部, 助教授 (60159407)
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キーワード | 胸部X線撮影 / デジタル画像 / 量子計数型X線撮影法 / 画像処理 / 胸部疾患 |
研究概要 |
株式会社島津製作所から量子計数型X線撮影装置(QR装置)の試作機の貸与を受け、この装置を用いて種々の陰影を呈する胸部疾患の撮影を行った。QRの画像処理法に関しては、平成9年度に検討を行ったダイナミックレンジ圧縮処理(QRC処理)に改良を加えた。QRC処理は、1)階調の適正化、2)濃度範囲の圧縮、3)微細構造影の強調からなるが、微細構造影の強調の程度を抑えることにより、低濃度域でのノイズの低減を図った。その結果、一枚のフィルム上に縦隔から肺野までを良好なコントラストで描出可能な画像処理が可能となった。正常構造や種々の陰影を呈する病変部の描出能について、1)画像処理を行わないQRの原画像、2)階調処理のみを行ったQR画像、3)QRC処理を行ったQR画像、4)FCR、5)従来のスクリーン・フィルム系X線画像(SF)の比較検討を行った。画像処理を行わないQRの原画像では、広い濃度域を良好なコントラストで描出することが難しく、階調処理のみを行ったQR画像では、肺野末梢部の肺血管や微細な陰影の描出がFCRやSFに比べ劣っていた。QRC処理を行ったQR画像は、正常構造や病変部の描出において、FCRやSFと同等ないしそれ以上の描出能を示した。特に、低濃度域の正常構造や病変部の描出に関して、QRC処理を行ったQR画像は、FCRやSFよりも優れていた。以上の検討より、胸部領域の撮影において、QRの持つ広いダイナミックレンジをフィルム上に表すためには、QRC処理が不可欠と考えられた。
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