研究課題
基盤研究(C)
平成3年から9年にかけて行ったヘリカルCTによる肺癌2次検診受診者(のべ719名)の内、肺野末梢部腫瘤を認めた59例につきCT所見を原発性肺癌、移転性腫瘍、良性腫瘤に分類して、retrospectiveに検討した。内訳は、原発性肺癌が18例、転移性腫瘍が8例、良性腫瘤が33例である。腫瘤径は、小さいものほど良性の割合が高く、特に径5mmでは14例中13例(93%)が良性であった。一方、径が大きくなるにつれて悪性の割合が増し、径20mm以上では、13例中9例(69%)が悪性であった。CT所見の検討で高頻度に認められた所見は、原発性肺癌では、棘形成(100%)、胸膜嵌入(71%)、肺血管の巻き込み(肺動脈93%、肺静脈86%)、分葉(43%)、充実型濃度(43%)であった。転移性腫瘍では、境界明瞭(100%)、辺縁平滑(100%)、含気型濃度(88%)であった。また腫瘤数が多いことが良性腫瘤との相違点であった。良性腫瘤も、境界明瞭(97%)辺縁平滑(88%)、含気型濃度(94%)が高頻度に認められた。上記結果より作成した3種類のCT仮診断基準案の検討から、径5mmより大きい場合、上記悪性を疑う所見を1項目でも認める場合は、HRCTを行い、さらに精査すべきと考える。一方、径5mm以下で、境界明瞭、辺縁平滑な類円形で数個までのものは、良性の可能性が高く、厳重な経過観察で対処可能なものが多いと考える。今後は症例数を増やすとともにCT所見を腫瘤径別に分析するなどさらに詳細な検討が必要である。
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