現在、核医学画像や機能的核磁気共鳴画像(fMRI)を用いて、視覚、聴覚、言語や思考などの高次脳機能の解明が行われているが、これらの高次脳機能の解明の研究を高精度に行うためには、核医学画像やfMRIによって得られた脳の機能画像と核磁気共鳴撮像(MRI)によって得られた解剖学的画像との正確な位置合わせが重要である。本研究では、これらを高精度に行うためのシステムおよびソフトウェアの開発を行っている。初年度は購入した備品(ワークステション)を用いて、高精度脳機能マッピングのための基本的なシステムを構築した。更に、愛媛大学医学部附属病院放射線部に現存する単光子放射型断層撮影装置(SPECT)や核磁気共鳴撮像装置で得られた画像を、購入したワークステーションに転送し、ワークステーション内で処理が可能となるように画像のフォーマットを変換するソフトウェアを開発した。また、脳機能マッピングのための基本的なソフトウェアを開発した。開発したソフトウェアでは、両画像間の類似性を最大にするパラメータの値を決定するために統計雑音(ノイズ)に影響を受けにくいSSC(Stochastic Sign Change)基準と非線形最小二乗法を用いた。昨年度は、更にソフトウェアの開発を進め、基本となるソフトウェアを完成させた。また、開発したシステムおよびソフトウェアの臨床応用を開始した。臨床データを用いて主として従来より行われている線形変換を用いたマッピング手法と比較した結果、本研究で開発した手法が精度の上で勝っているとの初期結果を得た。本年度は開発したシステムおよびソフトウェアの臨床評価を行ない、充分臨床応用が可能であるとの結果が得られた。更に、本研究期間を通して開発したシステムおよびソフトウェアの他の領域、例えばSPECTを用いた脳血流測定法の開発への応用についても検討したが、充分他の領域においても利用可能との結果が得られた。
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