基礎的検討として、本法に使用可能と考えられた細径ガイドワイヤーならびに細径カテーテルを購入し、その性能を試験するとともに、ガイドワイヤーに加工を加えることで、性能の向上を計った。その結果、ガイドワイヤーの屈曲は可能であったが、カテーテルに対する屈曲力は十分ではなく、ガイドワイヤーの材質ならびに構造に関して引き続き改良を加えることが必要と考えられた。臨床的検討として、本法の適応決定におけるMRIの有用性を検討するとともに、神経血管圧迫症候群症例に対して細径ガイドワイヤー並びに細径カテーテルの血管内挿入による症状の解除或いは誘発テストを試みた。MRIの診断精度に関する検討では、造影後3D-FISP法とCISS法の2種類のMRI撮像法を行い、receiver operating characteristic解析により検討した。その結果、非外科的神経血管除圧術の適応決定の手段の一つとして3次元グラディエントエコー法によるMRI撮像が極めて有用であることが確認できた。症状の解除或いは誘発テストでは、大半の症例でガイドワイヤー又はカテーテルを目的血管に挿入することが可能であり、本症に対する非外科的除圧術の基本的技術としての神経血管圧迫の責任血管への経血管的アプローチ技術を確立した。また実際にガイドワイヤー又はカテーテルを挿入することで症状の解除や誘発が認められ、本法の方法論の根拠としての本症における責任血管に対する機械的操作による圧迫解除の可能性が臨床例において確認できた。
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