研究概要 |
Coronary magnetic resonance angiography (coronary MRA)は、冠動脈を非侵襲的に描出する方法であり、虚血性心疾患の診断法の一つとして臨床応用への試みが盛んになされるようになっている。これまでは呼吸停止下の2次元(2-dimensional,2D)coronary MRAを用いた方法が主流であった。しかし、本法では呼吸停止が不十分のために評価に十分な画質のMRA像が得られないことも多くみられ、最近になり開発された呼吸同期法を併用した3次元(3-climensional,3D)coronary MRAによって、呼吸停止を被検者に強要せずとも冠動脈のMRA像を得ることが可能となった。今年度の主たる研究テーマはこの呼吸同則を併用した3D coronary MRAに、gadopentetate dimeglumine(Gd-DTPA)の持続静注法による造影を加え、正常冠動脈描出能および狭窄病変に対する診断能の向上の検討においた。その結果は正常血管では対象とする全てのセグメントにおいてはsignal noise racio(SNR)およびcontrast noise ratio(CNR)の向上を得、視覚的評価でも描出能の向上が確認された。しかし狭窄病変に対する診断率には、有意な差が認められず、検討の余地を残すことが確認された。造影剤の至適投与法の検討や再構成法の検討などが必要と考えられた。この内容の論文発表は日本磁気共鳴医学会誌に投稿中である。昨年までの研究成果はThe 8th Asian & Oceanian Congress of Radiology(AOCR)at Kobe,Sixth Scientific Meeting of International Society of Magnetic Resonance in Medicine(ISMRM)at Sidney,および98 Annual Meeing of Cardiovascular Interventional Radiology Society of Europe(CIRSE)at Veniceにて発表し、Asian OceanianJ of Radiologyに2論文が掲載された。
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