研究課題/領域番号 |
09670960
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
放射線科学
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
福田 国彦 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (20156780)
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研究分担者 |
北村 淳 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (40234273)
丸毛 啓史 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (70199925)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | 磁気共鳴画像 / 膝関節 / 変形性関節症 / 半月板 |
研究概要 |
これまで、変形性膝関節症の画像評価は主に単純X線写真によって行われてきたが、単純X線写真は骨の描出が主体で軟部組織の描出能に乏しく、必ずしも理想的な画像診断法ではなかった。一方、MRIは、関節軟骨、靭帯、半月など関節構成体を全て描出することが可能であり、変形性膝関節症の早期診断や重症度診断に有効な診断法といえる。そこでMRIによる膝関節の経年的変化と変形性膝関節症の比較を行ない、変形性膝関節症の発症のメカニズムを検討した。 対象は、膝関節疾患の既往の無い健常群48名(平均54歳)と変形性膝関節症患者67名(平均64歳)である。MRI画像につき、前十字靭帯、半月板、関節軟骨、軟骨下骨の信号異常、軟骨下嚢胞、骨棘の状態を評価した。その結果、40歳以上の健常者では半月板に変性ないし水平断裂を75%に認めたが、関節軟骨のびらん、骨棘形成、軟骨下骨の低信号域、軟骨下嚢胞がみられるのは一部の症例で、これらの変化は存在しても限局性ないし軽度であった。また、前十字靭帯の損傷が認められることはなかった。一方、変形性膝関節症では、全ての症例において半月板に異常を認め、特に複合断裂は内側半月板の74%において認めた。更に、関節軟骨のびらん、骨棘形成、軟骨下骨の低信号域も全ての症例で高頻度にみられ、変化はより広範ないし高度に認めた。また、大多数の症例において軟骨下嚢胞を、33%に前十字靭帯損傷を認めた。 変形性膝関節症の発症には、経年的変化が大きく関与しているといわれるが、本研究では、膝関節疾患の無い高齢者では、半月板の変性ないし水平断裂がほとんど全ての症例においてみられたにも拘わらず、変形性膝関節症の合併はみられなかった。変形性膝関節症の発症には、経年的変化に加え、外傷などを契機とした関節構成体の退行性変性、特に半月板の複合断裂が重要な役割を果たしていると思われる。
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