直腸肛門奇形術後例に対して2次元MRIによる動的撮影および3次元MRIによる立体撮影を行い、排便機能との関連性を検討した。装置はMagnetom Visionを使用し2次元撮影はTurboFLASH法、3次元撮影は3D-FISP法を用いた。対象は正常例が4例、直腸肛門奇形根治術後例が10名である。2次元MR-proctographyはフェリセルツを溶解した生理的食塩水100-300mlを注腸後、安静時、意識的肛門収縮時、排便時の順に撮像を行い、得られたデータをシネ表示して直腸肛門部の動的変化を観察した。3次元撮影は安静時、意識的肛門収縮時、いきみ時の順にデータを収集し、得られたデータをMedvisionを介して画像処理システム(SGI)に転送してそれぞれの時相での立体画像を作成して定量的解析をおこなった。正常例では安静時における直腸会陰曲の開大及び肛門収縮時、排便またはいきみ時における肛門管の上下への移動を観察する事ができた。一方、排便機能不良例では正常例に比し直腸会陰曲が鈍化し、直腸肛門間の直線化がみられ排便の遅延傾向も認められた。又意識的肛門収縮時といきみ時における直腸肛門の体積差は術後排便機能不良例では少ない傾向がみられた。 今回の検討の結果、超高速MRIによる2次元及び3次元撮像法は直腸肛門部を動的、立体的に把握可能であり、直腸肛門奇形術後の排便機能の客観的評価に極めて有用な検査手段であることが示された。
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