平成9年度に2次元および3次元法によるMRI機能検査を施行した直腸肛門奇形術後例10例のうち、その後排便機能改善の目的で積極的に保存的治療を行った8症例を対象としてMRI機能検査による経過観察を行った。得られた結果を平成9年度のデータと比較検討し、治療効果の判定を試みた。MRI装置はMagnetom Visionを使用し2次元撮影はTurboFLASH法、3次元撮影は3D-FISP法を用いた。2次元MRIはフェリセルツを溶解した生理的食塩水100-300mlを注腸後、安静時、意識的肛門収縮時、排便時の順に撮像を行い、得られたデータをシネ表示して直腸肛門部の動的変化を観察した。3次元MRIは安静時、意識的肛門収縮時、いきみ時の順にデータを収集し、得られたデータをMedvisionを介して画像処理システム(SGl)に転送してそれぞれの時相での立体画像を作成して定量的解析をおこなった。保存的治療にて臨床的に排便機能に改善が認められたのは2例であり、残りの6例は明らかな改善を認めなかった。得られたデータを平成9年度のデータと比較すると臨床的に改善が認められた2例では意識的肛門収縮時と排便時のPC-M角差および意識的肛門収縮時といきみ時における直腸肛門部の体積差に増加傾向が認められた。一方臨床的に改善が見られなかった6例ではMRI上明らかな変化は認めなかった。対象症例は少ないが、今回の検討の結果、超高速MRIによる2次元及び3次元撮像法は直腸肛門奇形術後排便機能不良例の治療効果判定に有用な検査手段であることが示された。
|